さよならだね。
「あ〜、帰りたくないよ〜。まだ居たいよ〜。」
帰りの新幹線に乗り込み、あたしは名残惜しく窓の外を眺める。
2日目の京都観光も、すっごく素敵な思い出ができたんだ。
嵐山に行って、愁くんと人力車に乗り、紅葉を見て回ったり、
先斗町の石畳を歩きながら、ゆっくりお土産を見て回ったり、
町家のカフェでお茶したり、
愁くんと一緒にいろんなところを回って、いろんな発見があったり、同じ気持ちを共有できたり、
いままでより、もっともっと心が近くなった気がしたの。
愁くんと初めての旅行、初めて訪れた京都、
楽しくて、素敵すぎて、離れるのが辛くなってしまった。
「また来ればいい。」
そう言って、あたしの頭をなでる愁くん。
「ほんと?」
「ん。今度は桜がきれいな春でもいいな。」
「やったー!じゃあ来年の春、また来ようね?」
「はいはい。」
果たせなかったね、、この約束。
このときは、京都の桜の中を、愁くんと並んで歩くことを想像して、一人でうかれてたっけ。
こんなことになるなんて、、
考えもしなかった。
あたしの思い描いた未来には、
いつも愁くんがいて、、
愁くんと一緒に笑い合っていたのに。