さよならだね。
「いいね!美奈と赤ちゃんにもクリスマスプレゼント買わなきゃね!」
「うんうん!まだなのかな〜?もう1週間くらいでしょ?」
「うん。もしかしたら、クリスマスに生まれてくるつもりなのかもね!」
美奈の赤ちゃんは、予定日を1週間ほど過ぎてるけど、まだ生まれていなかった。
あれから美奈は、本当にどんどんお母さんになってるって感じがして、あたしも優華も、ずっとそばで見守ってることしかできなかった。
生まれてくる子のためにも、みんなに祝福してほしいからって言って、両親や相手の男の人を必死に説得した。
いまでは美奈の両親も、赤ちゃんが産まれてくるのを心待ちにしている。
やっぱり親だもん、孫の顔が見たくないわけないよね。
相手の男の人も、美奈の切実な思いに心が動いたのか、産まれてくる子を自分の子どもとして認知してくれることになった。
養育費も、少しでも出したいと言ってくれたらしいけど、相手もあたしたちと同じ大学生。
しかも、あとからわかった話、彼には本命の彼女がいた。
合コンは軽い気持ちで行き、軽い気持ちで美奈と浮気したらしい。
それを知って、美奈の方から断ったらしい。
自分だけで育てると、認知だけで十分、あなたは自分の人生を生きて、と。
「見てみて!この洋服かわいい!」
めずらしくはしゃぐ優華の声。
その手には、ピンクのかわいい小さな服。