さよならだね。



「わかった。ここにいるから。」


あたしはもう一度、ソファーの前に腰を下ろす。



「さんきゅ。」


そう言ってあたしの手をぎゅっと握る愁くん。




相当辛いのかな?


こんなに弱々しい愁くんは初めて。



あたしは、愁くんの手を握り返し、そっと頭をなでた。



すると愁くんは、安心したように穏やかな表情になって、すぐに寝息をたてて眠ってしまった。





愁くんが眠ったのを確認して、あたしはそっと手を離し、キッチンに向かう。



とりあえずおかゆを作って、もしおかゆ食べる食欲もなかったらいけないから、温かいスープも作った。





「、、ゆら?、、ゆら!!」



起きてすぐ、あたしがいないと思ったのか、ガバッと起き上がる愁くん。



「愁くん?ここにいるよ。」



あたしが急いで愁くんの元にかけよると、愁くんはホッとしたようにため息をついて、あたしを抱きしめる。





「ゆらがいなくなったかと思った。」


「ふふふ、あたしはいなくならないよ〜。おかゆとスープ作ってたの。ごめんね。」



愁くんの背中をそっとさすってあげる。


落ち着いたのか、愁くんはあたしをゆっくり離した。



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