さよならだね。



俺は、初詣のときのことを思い返しながら、ゆらの家へと車を走らせた。





ーーーーーーーーーー



「うぅ〜、寒いね〜。」



車に乗り込んできたゆらは、鼻が赤くなってて、ぶるぶると震えていた。


また外で待ってたからだな。




「いつも中で待ってろって言ってるのに。」



俺は暖房を強め、ゆらの手を握った。


ゆらの手は氷のように冷たくて、どれだけ長いこと外に立ってたのかわかった。




「こんなに冷たくなって。風邪ひくだろ、ばかゆら。」


「だって〜、家の中で待っててもソワソワしちゃって落ち着かないし。それに、愁くんを待ってる間に、星空見てるのが楽しいんだ〜!」


「星空?」


「うん!冬は1年のうちで1番空気が澄んでるから、星がすっごくきれいなの!」




ああ、、本当にゆらは、、


わかってるのか?


そう言って微笑むお前が、どんだけかわいいくて、いますぐにでも抱きしめたいと思うこと。



いや、わかってないんだよな。


無自覚だから困るんだ。


大学とかでも、他の男にそんな風に微笑みかけんのか?


そんな顔されたら、男なんて大抵イチコロだぞ。



見えない相手への嫉妬は辛いんだ。


俺にはどうしようもできないから。

俺の手が届かないところだから。


戦いようがないんだよな。



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