さよならだね。



俺って、こんなに独占欲強かったんだな。



いままでこんな風に思うことは一度もなかったから、そんな自分自身に驚くし、でもなんだか嬉しくもなるんだよな。



俺も普通の男じゃん、って。





長い列に並び、ようやくゆらと一緒に初詣。



俺が目を開けても、隣のゆらはまだ目を閉じて、何かお願いごとをしている。



その横顔が、いつもとはどこか違っていて、きれいだと思った。





「あんな長いこと、何をお願いしてた?」


「内緒だよ〜!お願いごとは、人に言っちゃ叶わなくなっちゃうもん。」



子どもみたいなことを言うゆら。


でも、ゆらのそんなとこも好きなんだ。




「あ!愁くん、絵馬書いてもいい?」


「絵馬?いいけど。」


「やった〜!あっちだよ!」



ゆらは、すごい勢いで俺の手を引き、絵馬の方へと進んで行く。





「ねぇ、ちょっとあっち向いてて?」


「なんで?」



絵馬を前に、ペンを持っているゆら。



なかなか書かないと思ったら、俺がじっと見ていたかららしい。




「お願いごとは秘密なの。だから書き終わるまであっち見てて?」


「わかったよ。」



俺はゆらに背を向ける。


ったく、いちいちかわいいんだよ本当に。




でも俺は、絵馬の内容が気になって、悪いとは思うけど、こっそり振り返って盗み見たんだ。


そしたら、ゆらの絵馬には、



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