さよならだね。
あのとき、俺は伝えようと決めたんだ。
結婚してほしい、、と。
ゆらを安心させるため、
ゆらに信じてもらうため、
そう言いながら、本当は自分のためでもあるんだよな。
俺が安心したかったのかもしれない。
ゆらに、受け止めてほしかったのかもしれない。
俺と結婚してくれる。
俺とずっと一緒にいてくれる。
俺から絶対離れない。
そう約束してほしかったのかもしれない。
どんだけだよ、俺。
ゆら、こんな俺は、ちょっと気持ち悪い?
ゆらの家に向かう途中、花屋によった。
そして、抱えきれないほど大きな、かすみ草だけの真っ白な花束を買った。
なんでかすみ草かって?
それは、ゆらが見た夢が、かすみ草畑だったから。
ゆらが俺の家に泊まったとき、見たんだよな。
きれいなかすみ草畑で、小さな子どもを連れた夫婦みたいな人がいて、3人仲良く手をつないでいた夢。
俺とゆらは、それが俺たちの未来だといいなと、微笑み合ったんだ。
それを俺はずっと覚えてて、本気で俺たちの未来であることを願っている。
だから、かすみ草の花束にしたんだ。