さよならだね。



あのとき、俺は伝えようと決めたんだ。



結婚してほしい、、と。




ゆらを安心させるため、

ゆらに信じてもらうため、


そう言いながら、本当は自分のためでもあるんだよな。




俺が安心したかったのかもしれない。


ゆらに、受け止めてほしかったのかもしれない。



俺と結婚してくれる。


俺とずっと一緒にいてくれる。


俺から絶対離れない。



そう約束してほしかったのかもしれない。


どんだけだよ、俺。



ゆら、こんな俺は、ちょっと気持ち悪い?





ゆらの家に向かう途中、花屋によった。


そして、抱えきれないほど大きな、かすみ草だけの真っ白な花束を買った。



なんでかすみ草かって?


それは、ゆらが見た夢が、かすみ草畑だったから。



ゆらが俺の家に泊まったとき、見たんだよな。


きれいなかすみ草畑で、小さな子どもを連れた夫婦みたいな人がいて、3人仲良く手をつないでいた夢。


俺とゆらは、それが俺たちの未来だといいなと、微笑み合ったんだ。



それを俺はずっと覚えてて、本気で俺たちの未来であることを願っている。


だから、かすみ草の花束にしたんだ。



< 281 / 444 >

この作品をシェア

pagetop