さよならだね。



「ゆらちゃん!」


病院の救急外来に着くと、原口さんが入り口で待っていてくれた。




救急外来、、、



ここに来て、やっと、本当に愁くんが事故にあったんだとわかった。





「いま手術中だから。」



原口さんの言葉にうなづくことしかできない。




原口さんに案内され、手術室の前に来ると、手術中と光る文字が見えた。



「ゆら!!」


「優、、華、?」



手術室の前のベンチに優華が座っていた。


優華はあたしを見ると、ぎゅっとあたしを抱きしめる。




「海斗と一緒にいたときに、電話があって。」



優華が話してるけど、全然あたしの耳には入ってこない。





あたしは手術室のドアを見つめる。



愁くん?


そこにいるの?


愁くん、、やだよ、、


死んだりしないよね?


あたしを一人にしないでよ、、



愁くん、、

愁くん、、




何も話せず、ただただ涙を流すあたしの肩を、優華がずっと抱きよせてさすってくれる。


でも、ありがとうの一言さえ言えなかった。



< 285 / 444 >

この作品をシェア

pagetop