さよならだね。



「もし意識が戻らなかったら、それは、植物状態ってことですか?」



そう聞く原口さんの声は、少し震えていた。




「そうなります。また、意識が戻ったとしても、脳のダメージが大きいため、何らかの障害が残る可能性が高いです。」


「障害って、、」


「事故後の障害として多いのは、腕や足などの体に残るマヒ、記憶障害、言語障害などです。」



お医者さんの言葉に、冷静だった原口さんも、悔しそうに唇をかみしめていた。




「とにかく、立花さんは、いまから集中治療室の中の、個室に入っていただきます。状態が状態ですので、ご家族の方以外は、面会謝絶にさせていただきます。」


「俺たちも入れないってことですか?」


「申し訳ありませんが、ご理解下さい。立花さんのためですので。」





そんな、、


愁くんに会えないの?

顔を見ることさえ許されないの?



愁くん、、会いたいよ、、


顔が見たいよ、、


お願いだから、、頑張って、、愁くん。






あたしたち3人は、病院のロビーに移動した。




「はい、ゆらちゃん。」


「ありがとうございます。」



立花さんが温かいコーヒーを買ってくれて、それを受け取ったら、その温かさにまた涙が出てくる。




すごいね、、


涙ってこんなに出るものだったんだね。


溢れても溢れても、止まることはない。


体中の水分が、涙になって出ちゃうんじゃないかってくらい。



こんなに泣いてるのは、生まれて初めてかもしれない。



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