さよならだね。



愁くんの事故から、1週間が過ぎた。




危険だと言われていた3日は乗り越えたけど、愁くんの意識はまだ戻らないままだった。



まだ面会謝絶のままで、一度も愁くんに会えないまま。



原口さんが愁くんのご両親に毎日状態を聞き、あたしに知らせてくれた。




そして、あの日以来、優華が毎日のようにうちにきて、何をするわけでもなく、午前中から夜までそばにいてくれている。


原口さんとデートでもしてきてって言うんだけど、優華は絶対にあたしのそばを離れなかった。




優華といるときは、どうにか気がまぎれるんだけど、優華が帰ってからは、やっぱり毎日泣いていた。


ベッドに入って目を閉じれば、頭の中がすぐに愁くんでいっぱいになってしまって、気づけば涙が溢れていて、なかなか寝つけない。



食欲もいまだに無くて、無理して食べようとはしてるけど、ほとんど口に出来ずにいた。






「ゆら〜!散歩に行かない?今日めっちゃ暖かくて気持ちい天気だよ!」



今日は来てすぐにそう言う優華。


そういえば、あの日以来、あたしは一歩も外に出ていなかった。




「散歩ってどこに?」


「ん〜どこでも。近くに公園とかないの?」


「ああ、一つあるよ。」


「じゃあそこまで行こう!」



散歩に行くことに決まり、部屋着から服を着替えようとしたときだった。



原口さんからの着信。


原口さん、仕事中のはずなのに、、



あたしは嫌な予感がして、慌てて電話に出た。


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