さよならだね。



「もしもし?」


「ゆらちゃん!愁が!愁の意識が戻ったって!」


「えっ!本当ですか?」


「うん!いま愁のお母さんから連絡があったんだ!でも、これからいろいろ検査とかしないといけないみたいで、夜にしか面会できないだろうって。俺が仕事終わったら迎え行くから、一緒に病院行こう!」


「はい!」




あたしは嬉しくて、泣きながら優華に伝えた。



優華は飛び跳ねて喜んでくれて、良かったと泣いてくれた。




それから優華と散歩に行った。


久しぶりの外は、本当に暖かくなっていて、春が近づいていると感じた。




愁くんの意識が戻ったと聞き、昨日までの自分が嘘かのように、足取りも軽いしお腹が空いてきた。


公園の近くのコンビニで、アイスを買っていき、公演のブランコに座って食べた。





「おいしい、、」



あたしは、久しぶりにおいしいという感情がわいてきた。



「良かったね。本当に良かった。」



優華も嬉しそうに微笑んでくれた。





澄みきった青空を見上げる。



頑張ったね、愁くん。


戻ってきてくれて、ありがとう。


もうすぐ会いに行くからね。



あたしは意識が戻ったからって、それだけで舞い上がってて、、


大事なことを忘れてたんだ。



何らかの障害が残る可能性が高い。


そう言われたことを。



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