さよならだね。
「ゆらちゃん、、」
原口さんが、辛そうな顔であたしを見る。
優華も泣きながら支えてくれてる。
2人とも、あたしを心配してくれてる。
「愁、ゆらちゃんは、、ゆらちゃんはな、お前の、、」
「原口さん!」
原口さんが、あたしのことを伝えようとしてくれたけど、あたしは慌てて止めた。
「原口さん、大丈夫ですから。すいません、あたし、今日は先に失礼します。」
そう言って、愁くんやご両親に頭を下げ、あたしは逃げるように病室を飛び出した。
「ゆら!」
「ゆらちゃん!」
原口さんと優華が追いかけて来てくれて、そのまま原口さんの車で、家まで送ってもらった。
車の中で、優華はあたしの手を握って、ずっと泣いてくれてた。
あたしのために、、そんなに泣かないで。
「ゆらちゃん、愁には、言わないの?ゆらちゃんのこと。俺はちゃんと伝えて、愁に少しでも早く思い出してもらいたいんだ。」
原口さんの言葉が嬉しかった。
原口さんもあたしのために、必死になってくれてるってわかったから。
「いいんです。伝えなくて。」
「でも、、」
「もしあたしが彼女だったって言ったら、愁くんは、頑張って思い出そうとするだろうし、思い出せなくても、あたしのこと大事にしようとしてくれると思うんです。」
そう。
愁くんは、優しいから。
「でも、そうやって、無理してあたしのそばにいてほしくないんです。愁くんのためにも。それに、そんなのあたしも辛いから。」
あたしのこと覚えてもないのに、あたしのこと好きでもないのに、彼女だったんだからって、それだけの理由で、愁くんを縛りつけたくない。
無理してそばにいてほしくない。