さよならだね。

別れの季節




今日も愁くんの病室をノックする。



でも、中から返事がない。



あれ?もうリハビリは終わってる時間のはず。




「愁くん?入るよ〜?」



ドアを開けたけど、そこに愁くんの姿はない。



もしかして、、


また香織さんと会ってるのかな?






香織さんと初めて会った日から2週間。



あの日以来、愁くんと香織さんの距離は、どんどん縮まっているようだった。



毎日のようにリハビリで顔を合わせ、


あたしが来たら、愁くんの病室で話してたり、


中庭のベンチでお茶していたり、




2人でいるところをよく見かけた。



そのたびに、あたしは泣きたくなる気持ちをおさえ、歯を食いしばった。




香織さんに見せる、愁くんの表情。



その一つ一つが、前まであたしに向けられたものと同じだった。



きっと、、



愁くんは、、香織に惹かれている。



愁くんを見てればわかる。


ずっと、愁くんだけを見てきたんだから。





でも、あたしはまだ決心がつかずにいた。



愁くんから離れる決心が。



あたしから離れれば、全てが終わる。



そうわかっているから。



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