さよならだね。



それじゃあまるで、、


香織さんとの別れを、惜しんでいるみたいじゃない。


香織さんが退院する前に、、



何かを伝えようとしているような、、。





「そっか。本当に良かった!香織さんも!」




嘘だよ。


この笑顔は全部嘘なの。



あたし、最低でしょ?


こんな汚いあたしは、嫌い?





「ああ、それでさ、ゆらにちょっと頼みたいことがあるんだ。」


「ん?なに?」



急に真剣な顔になる愁くん。




「明後日、かすみ草の花束を買ってきてほしいんだ。小さいのでいいからさ。」




ああ、、そうか、、。


香織さんにあげるんだね。



愁くんの中で、かすみ草は、あたしとの思い出ではなく、、


香織さんとの思い出の花になってしまったんだね。





「明後日は日曜だから、ゆらも昼間に来れるだろ?香織は昼過ぎに退院するらしいから。海斗に頼んでもいいんだけど、なんか言いづらくてな。」



そう言って、少しはにかんだ愁くん。





なに、、?



もしかして、花束を渡して、、


告白でもするつもりなの?



ねぇ、、愁くん、、


残酷だよ、こんなの、、。




でも、、


「わかった。1時くらいに持って来れば間に合うかな?」



あたしはやるよ。



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