さよならだね。
「じゃあ、俺ちょっと行ってくるわ。」
愁くんがそそくさとベッドから出る。
「本当に、、香織って子に渡しに行くのか?」
「ああ、そうだけど?」
原口さんの低い声に、少し戸惑った様子の愁くん。
優華はうつむいていた。
「かすみ草の、、花束を?」
「どうしたんだよ、海斗。お前、なんかやっぱおかしいぞ?」
外に向きかけた足を、引き返そうとする愁くん。
「しゅ、愁くん!早く行かないと、間に合わないんじゃない?」
あたしがそう言うと、そうだなって言って、愁くんは少し納得がいかない様子で、病室をあとにした。
「ゆら!」
優華が、すぐにあたしを抱きしめる。
「ゆらちゃん、、悪い。ゆらちゃんが一番辛いのに、俺が口出しちゃって。」
そう言って、悔しそうな原口さん。
「いえ、そんな。優華?大丈夫だよ、あたしは。大丈夫だから。」
あたしはそう言うと、抱きしめてくれてた優華を離した。
「でも、、戻ってくる愁くんに会うのは、ちょっと怖い。だから、あたし今のうちに帰るね。」
「ゆら、、じゃあ、あたしも一緒に。」
「ううん、一人で大丈夫だから。原口さん、優華をお願いします。あと、愁くんには、急用が入ったからって、言っといてください。」
「ゆらちゃん、、わかったよ。」
「ありがとうございます。じゃあ、優華また明日学校でね。原口さんも、また。」
あたしは心配してくれる2人を残し、1人で病院をあとにした。