さよならだね。



いつかもあったね、こんなこと、、。




愁くんが、仕事終わりに、あたしに内緒でうちの前まで来てたこと。



まだ、ちゃんと付き合う前だった。



びっくりして飛び出したあたしは、お風呂上がりのパジャマ姿で、すごく恥ずかしかったっけ。






玄関から出ると、優しく微笑む愁くんが立っていた。




「愁くん、、なんでここにいるの?」



あたしがそう聞くのと同時に、、



あたしは、愁くんにそっと抱きしめられた。





「えっ、ちょっ、愁くん?」



もちろん、あたしの頭は大パニック。


でも、愁くんは離してもくれないし、口も開かない。



ただ、黙ってあたしを抱きしめる腕に、力を込めた。





「会いたかった。」



久しぶりに聞く愁くんの声。


耳元で聞こえる、大好きな声。




「ゆらに会いたかった。」




これは、夢ですか、、?


愁くんのことを思い過ぎて、こんな夢を見ちゃってるのかな?



愁くんが目の前にいる。


目の前どころか、あたしは愁くんの腕にすっぽりと収まっている。



愁くんが、会いたかったと言った。


あたしに会いたかったと、、。



これは、、現実ですか、、?



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