さよならだね。
その日の夜。
遅い時間だったのに、愁くんが仕事帰りに会いに来てくれた。
残業で疲れてる愁くんも、ちょっとかっこいいんだよね。
ふふふ。
「疲れた〜。充電。」
そう言いながら、ぎゅーってしてくる愁くん。
かわいいなぁ、もう。
あたしもぎゅーって、抱きしめ返す。
「車、また黒にしたんだね?」
「違う色が良かった?」
「ううん。黒がかっこいい。」
新しくなった愁くんの車。
前と同じ黒で、車種は違うんだけど、そこまで形や内装も変わらないものだった。
好きなんだろうなぁ、こんな車が。
愁くんって、気に入ったものはとことんそればっかり。
食べ物や飲み物とかも、、
あんまり新しいものに冒険したりしなくて、ハマったら飽きるまでずっとそれ。
そんなとこも、子どもみたいでかわいいの。
「あのね、愁くんに報告があるの。」
「ん?」
あたしは、愁くんに今日のことを話した。
アパレル企業に進むと決めたこと。