さよならだね。



「もしもし。愁くん?」


「ゆら、いまから会えない?会って、話がしたいんだ。」


「うん、あたしも。」


「外、出れる?」




もしかして、、


慌ててカーテンを開けると、家の前に愁くんの車があった。


車から降りて、あたしの部屋を見上げていた愁くん。



愁くんの電話を切ってしまってから、優華と電話してた時間はそんなに長くはないのに、、



愁くん、、





「いますぐ降りてくるね。」


「ん。」



あたしは部屋着に着替えてたけど、何か羽織ることもなく、慌てて外に出た。


もう5月も終わろうとしてるけど、半袖の部屋着だけでは、夜はまだ少し肌寒い。




「風邪ひくだろ。」


そう言って、愁くんがスーツのジャケットを肩にかけてくれる。



「ありがと。」


いままで愁くんが着てたから、ジャケットには愁くんの温もりがあって、愁くんの匂いがして、、


あたしは少しドキドキしちゃう。




「乗って。」



愁くんが助手席のドアを開けてくれて、あたしは黙って車に乗り込んだ。


運転席に乗り込むと、愁くんは何も言わず、エンジンをかけて車を走らせた。




「どこに行くの?」


「ゆっくり話せるとこ。」



それから、車を走らせてる間、あたしも愁くんも、一言も発さなかった。



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