さよならだね。



「えっ、ここ、、」



愁くんが車を止めたのは、あの場所。



何度も二人で来て、夜景と星空の絶景を眺め、いろんな話をした高台。


あたしが、愁くんの昔の彼女の存在にヤキモチを妬いて、それを素直に話せた場所。




愁くんの事故以来、ここにくるのは初めてだったから。



愁くんは、ここでの思い出も覚えてないはずなのに、、


ゆっくり話せるとこって言って、ここを選んでくれたのが、なんだか嬉しかった。





「ん?ここ、嫌だった?」



ちょっと困った顔の愁くん。



「ううん。」



きっと、いまのあたしの気持ちは、愁くんにはわからないんだろうな。





車から降りて、愁くんと並んでベンチに座る。



夜景と星空を交互に見る。




久しぶりに見た景色は、いつもとちっとも変わってなくて、


あたしはホッとした。





「ゆら、聞いて?」



あたしの右手をそっと握り、愁くんがあたしの目を見て話し始めた。



真っ直ぐな愁くんの目に、あたしは目をそらせなくなる。




「さっき、俺、ゆらに嘘ついた。ごめん。」


「うん。」



やっぱり、会社の人じゃなかったんだよね。



やっぱり、、



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