さよならだね。



「香織さんのこと、正直に言うとね?あたし、ヤキモチ妬いちゃった。電話から香織さんの声が聞こえて、すごく嫌だった。」



あたしは愁くんを見つめてるけど、愁くんは、遠くを見つめたまま。




「でもね、それよりも、愁くんに嘘つかれたことの方が、やっぱり嫌だった。愁くんのことは信じてるけど、でも隠されると、余計に嫌なこと考えちゃって、そんな自分も嫌だった。」



あたしの気持ち、素直に伝えたのに、愁くんはこっちを見てくれない。


何も言ってくれない。




愁くん、いま、何考えてる?



愁くんの目が見たい。



目を見て話がしたいのに。





「ゆら、ゆらは俺といて幸せ?」


「え?何言ってるの?愁くん?」




なんで、、

なんでそんなこと聞くの?



「幸せだよ。愁くん、どうしたの?」




お願いだよ、こっち見て?



隣にいるのに、すごく遠くに感じる。



愁くんが遠いよ、、





「俺、ゆらのこと、傷つけてばっかだな。」


「そんなことないよ。」


「いや、ゆらのこと、泣かせてばっかだ。」




あたしは、嫌な予感がした。



愁くんが、、

愁くんの心が、、


迷子になってる。



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