さよならだね。



「それ見てわかったよ。やっぱり俺は、記憶をなくす前、ゆらと付き合ってたんだってこと。嬉しかった。」


「愁くん、、」




あたしも嬉しいよ。


あたしは、そんなに愁くんから愛されていたんだね。



すごく、、すごく嬉しい。





「それに、こんなマメなことしてるなんて、自分でもびっくりでさ。俺、本当にゆらのことが好きだったんだなって。」



ありがとう。


いまこんなこと言うのは、なんかちょっとおかしいかもしれないけど、、



そんなに大事にしてくれて、、


本当に、ありがとう。





「でもさ、そんなに大事だったはずなのに、好きだったはずなのに、、俺、何にも思い出せねーんだよ。何度写真を見ても、メモを読み返しても、何一つ思い出せなかった。」


「それはしょうがないよ。いつかきっと、思い出せるよ。」




あたしがそう言ったとき、ずっと遠くを見てた愁くんが、、


やっと、あたしの目を見てくれた。




でも、その愁くんの目は、


いままで見たことのないような目だった。



寂しそうで、苦しそうで、悔しそうで、、


見てるのが辛かった。





「思ったんだ。きっと、記憶を失くす前の俺は、こんなにゆらを傷つけたりしなかった。絶対泣かせたりしなかったはずだって。」


「それは、、」




何も言えなかった。


確かにそうかもしれない、そう思ってしまってたのかな。



前の愁くんとなら、こんな風にならないはずだと思ったから。


前の愁くんは、あたしを安心させるために、一生懸命頑張ってくれた。



自分の過去がゆらを汚してしまうんじゃないか、そこまで考えてくれて、、


あたしが不安にならないようにって、いつもそっと自然と気遣ってくれて、、


自分のことよりも、あたしのことを優先してくれたりして、、



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