さよならだね。



家まで送ってくれるときは、いつもそうだった。



あたしが玄関の鍵を開けて、中に入るのを見届けてくれるんだ。


だからあたしは、玄関を開けて一度振り向いて、笑顔で愁くんに手を振るの。



でも、ごめんね。


今日は振り返らない。




だって、、もう涙が止まらない。



こんな顔で振り返れないよ。





愁くん、さよなら。



でも、今度のさよならは、この前のさよならとは全然違うよ。



自分でさよならするって決めたときより、もっとずっと辛いよ。




でも、信じて待ってるからね。



愁くんが、いつかまた迎えに来てくれるって。



信じてるから。





その日まで、あたしはもっともっと頑張って、愁くんに似合う、素敵な女性になるから。



うつむいてなんていられない。



しっかり上を向いて歩くよ。





でも、今日だけは、、



今日だけは、泣いてもいいかな?




あたしは振り向かずに家に入り、玄関を閉めると、そのままその場に泣き崩れた。



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