さよならだね。



ごめんな、ゆら。



こんなにたくさんの思い出、全部忘れちゃって。



こんだけの記憶を無くしてしまえば、ゆらも悲しいに決まってるよな。



だから、そんな顔してんだよな。



俺、ゆらのこと傷つけてるな。





たぶん、このときの俺なら、香織と会うこと隠したりしないんだろうな。


それどころか、香織と二人で会うなんて、最初っからしなさそうだ。



俺にはゆらだけだ!って、、


顔に書いてあるもんな。





その写真の中で、この高台での写真が多いように感じたんだ。



夏や秋、冬も春も、ここで撮った写真が何枚もあった。




だから、俺の決心を告げるには、ここがいいと思ったんだ。



ここなら、俺のいまの気持ちを、素直に伝えられる気がした。



ゆらのことが大好きな気持ち。


だからこそ、、


いまは距離を置きたい、そんな気持ち。





距離を置きたいと言ったら、ゆらはわかったと言ってくれた。



たぶん、ゆらが離れたくない、そう言ってくれたら、俺はまた決心が揺らいだかもしれない。


でも、ゆらはそんなこと言わない。



それが俺を思ってのことだとわかっていても、本当はゆらも、俺と離れたかったのかなんて、そんな不安を感じてしまう。



バカだよな、、ほんと。



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