さよならだね。
海斗から一度電話があった。
電話に出た瞬間、お前バカじゃねーのか、って怒鳴られた。
たぶん、ゆらと別れたこと、優華ちゃんから聞いたんだろうな。
「助けてくれよ。わかんねーんだよ、もう。」
「どうしたんだよ。とりあえず、今からお前んち行くから待ってろ!」
そう言って電話を切ったあと、本当にすぐ海斗が部屋に来て、心底呆れたようにため息をついた。
「なんだよ、お前のそのありさまは。電気ぐらいつけろバカ。」
「笑えるだろ?自分でもどん引きだよ。」
「事故に遭った後より、今の方が死にそうに見えるぞ。」
「ははっ、そうかもな。」
本当にそうかもしれない。
事故のあと、集中治療室に入って意識が戻らなかったとき、自分ではその状況がわからないけど、
今の方がひどい自信がある。
体がとか、そういう物理的な話じゃないんだ。
心が完全に折れそうなんだ。
ビリビリに引きちぎれそうなんだ。
「そんなになるくらいなら、なんで別れたりすんだよ。お前が言い出したんだろ?」
「ああ。でもこれで、俺にとってゆらがどれだけ大切か、痛いほどわかった。」
「じゃあ、ゆらちゃんに頭下げて、より戻してもらうしかねーな。」
「いや、まだダメだ。」