さよならだね。



確かにその通り。



霞んで見えるんだ、全部。




いままで大好きだった星空を見ても、ちっともきれいだと思えない。


大好きだった甘い物も、ちっともおいしいと思えない。


大好きで仕事にまでしたファッションも、最近では買い物すら行こうと思えない。


かわいい雑貨が好きで集めてたのに、いまは何一つかわいいと感じない。


人と話すのが好きで、家族や友達と話してばっかだったのに、ここ最近は誰とも話し込んでない。




愁くんと別れてからのあたしは、なんだかあたしじゃないみたいなんだ。



人が変わってしまったかのように。



あたしがあたしでなくなってる。





「好きなんでしょ?立花さんのこと。そんな目しちゃうくらい、好きで好きでしょうがないんでしょ?」



あたしは、静かにうなづく。



「立花さんのせいで泣いても、傷つけられても、それでもゆらは、立花さんが好きなんでしょ?そばにいたいんじゃないの?」



あたしは、もう一度うなづく。



そうだよ。


何も覚えてない愁くんに、寂しさを感じることもあった。


前と少し変わってしまったような愁くんに、不安を感じることもあった。


嘘をついた愁くんに、嫌悪感を抱いた。



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