さよならだね。



なのに、このバカ。



ゆらちゃんのこと離しやがった。



また、ゆらちゃんを一人にしやがった。




優華にこのことを聞いて、俺はこいつを怒鳴りつけにきたんだ。


何考えてんだ!って、頭ごなしに怒鳴りそうなくらい、腹が立ってた。




なのにさ、、



こんなボロボロな姿見たら、そこまで怒れなくなっちゃうだろ。



やさぐれるってこういうことか、って初めて思ったよ、俺。




電気もつけずに、ソファーに座って泣いててさ。


ゆらちゃんの写真握りしめてさ。




こいつが別れを言い出した理由は、優華から聞いてたんだけど、



やっぱバカだろ?こいつ。




今の自分じゃ、ゆらちゃんを傷つけてばかりだからって。


ゆらちゃんを幸せにできないからって。


ゆらちゃんを一生幸せにできるような、そんな男になるまで離れるって。




俺からしたら、なんだそれって感じだよ。



好きなら、そんなに好きなら、離れるべきじゃない。



離れなくたって、変わることはできるだろ?




でも、そんな中途半端なこと、できないんだよな、愁には。


そんだけ、記憶を失くした今も、ゆらちゃんのことが好きなんだ。



俺からしたら、記憶を失くす前とも、全然変わってない気がするけどな。



その、ゆらちゃんを思う気持ち。



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