さよならだね。
「とにかく、ちゃんと食えよ。そんなだっせー愁、ゆらちゃんに嫌われちゃうぞ。」
「ははっ、だな。」
すげー空っぽの、中身のない顔で笑う愁。
やっぱゆらちゃんがいなきゃ、まともに笑えないんだよこいつ。
ゆらちゃんがいなきゃ、あんな幸せそうな顔になれないんだ。
「これだけは言っとく。お前には、ゆらちゃんしかいねーからな。」
「わかってる。」
「ならいい。それと、」
「なんだよ?」
かわいそうなこいつに、これだけは教えといてやろうか。
「俺から見たら、ゆらちゃんを大切に思うお前の気持ちは、記憶失くす前も今も、全然変わらねーと思うぞ。ゆらちゃんを好きだって気持ちは、ちっとも変わってねーよ。」
「そうなのかな?さんきゅ。」
「じゃあな。」
愁の部屋を出て空を見上げる。
二人が大好きな綺麗な星空。
頼むよ。
こんなバカで不器用な二人を、見守ってやってくれよな。
こんなにお互いを思いやってる二人は、他には絶対いないからさ。
二人が幸せになれるように、導いてやってくれ。