さよならだね。



「どんなに情けなくても、どんなにかっこ悪くても、そんな愁くんも全部大好き。これからは、全部見せて欲しい。もう、一人で悩まないで?」


「ん。」


「これからもっと辛くて、大変なことがあったとしても、二人一緒なら、きっと大丈夫だよ。愁くんがいてくれたら、あたしはそれだけで幸せだから。」


「俺もだよ。ゆらがいれば、それだけでいい。」




愁くんの顔が、そっと近づいてきて、優しく唇が触れる。



触れ合う唇から、愁くんの気持ちが痛いほど伝わってくる。



たくさんのごめんね。


それから、


たくさんのありがとう。




久しぶりのキスは、なんだか涙の味がした。


きっと、愁くんの涙だね。




唇が離れると、あたしは、また強く抱きしめられる。



「愁くん、苦しいよ。」


「ごめん。でも、ちょっと我慢して。」




ずっと、こうしていたい。


ずっと、愁くんの腕に包まれていたい。



温かくて、幸せを感じる。


自然と頬が緩む。


あたしの、一番ホッとする場所だ。



< 405 / 444 >

この作品をシェア

pagetop