さよならだね。



「俺がバカだった。ゆらと離れるなんて。離れた方が、もっとずっと辛かった。」


「うん。」


「情けねーけど、聞いてくれる?」



それから愁くんは、あたしと離れていた間のこと、全部話してくれた。




ご飯もまともに食べれなかったこと。


仕事も手につかなかったこと。


何もやる気がおきなかったこと。


眠れなくて、毎日お酒の力を借りて寝てたこと。


電気もつけずに、暗い部屋で一人で泣いたこと。


毎日、写真のあたしに話しかけていたこと。





「こんなやつ、気持ち悪いだろ?」


「ううん。あたしのこと、そんな風に思ってくれて、ありがとう。」



あたしが微笑むと、愁くんの不安そうな表情が、ゆっくり和らいでいく。




「ゆらと離れて、後悔もしたけど、でもそれでわかったこともある。」


「なに?」


「俺は、ゆらがいないと何もできないってこと。ゆらがいてくれないと、笑えないんだ。感情がなくなって、ただ涙が止まらない。そんな毎日だった。」


「愁くん、、」




離れてる間、愁くんもあたしと同じように感じてくれてたことが、すごく嬉しかった。


あたしも、愁くんがいないと、ちゃんと笑うことができなかったから。




「もう二度と、こんな思いはしたくない。もう二度と、ゆらと離れたくない。」


「あたしもだよ。絶対離れない。愁くんが嫌だっていっても、離してあげないからね。」


「それは俺のセリフ。」



< 406 / 444 >

この作品をシェア

pagetop