さよならだね。
「俺がバカだった。ゆらと離れるなんて。離れた方が、もっとずっと辛かった。」
「うん。」
「情けねーけど、聞いてくれる?」
それから愁くんは、あたしと離れていた間のこと、全部話してくれた。
ご飯もまともに食べれなかったこと。
仕事も手につかなかったこと。
何もやる気がおきなかったこと。
眠れなくて、毎日お酒の力を借りて寝てたこと。
電気もつけずに、暗い部屋で一人で泣いたこと。
毎日、写真のあたしに話しかけていたこと。
「こんなやつ、気持ち悪いだろ?」
「ううん。あたしのこと、そんな風に思ってくれて、ありがとう。」
あたしが微笑むと、愁くんの不安そうな表情が、ゆっくり和らいでいく。
「ゆらと離れて、後悔もしたけど、でもそれでわかったこともある。」
「なに?」
「俺は、ゆらがいないと何もできないってこと。ゆらがいてくれないと、笑えないんだ。感情がなくなって、ただ涙が止まらない。そんな毎日だった。」
「愁くん、、」
離れてる間、愁くんもあたしと同じように感じてくれてたことが、すごく嬉しかった。
あたしも、愁くんがいないと、ちゃんと笑うことができなかったから。
「もう二度と、こんな思いはしたくない。もう二度と、ゆらと離れたくない。」
「あたしもだよ。絶対離れない。愁くんが嫌だっていっても、離してあげないからね。」
「それは俺のセリフ。」