さよならだね。
クリスマスの奇跡
愁くんの意識が戻らないまま、10日ほど経っていた。
そんな今日は、クリスマスイブ。
街中が、たくさんの飾り付けをされ、クリスマス一色に活気づいている。
辺りはこんなに賑やかなのに、愁くんには聞こえないの?
ほら、年に一度のクリスマスだよ。
お願いだから、目を覚まして。
あたしは、毎日のように愁くんに付きっきりだったけど、今日はちょっと忙しい。
朝から優華と美奈の家に、幸ちゃんの誕生日プレゼントを渡しに行く。
そしてあたしはその後、午後から会社での、インターンを目前に控えた説明会がある。
愁くんのとこに行くのは、夜になりそうだ。
まあ、今日は原口さんが愁くんのとこにいてくれてるから、安心なんだけど。
でもやっぱり、そばで愁くんの顔を見てなきゃ、なんだか不安で落ち着かないね。
「わ〜!かわいい〜!ほら、幸見てみて!ゆらと優華から、幸に誕生日プレゼントだってよ!」
美奈が嬉しそうに、プレゼントの包装を取り、幸ちゃんに見せる。
幸ちゃんは気に入ってくれたのか、キャッキャ言って、バタバタと手足を動かした。