さよならだね。



泣きそうになりながら、ナースステーションにたどり着くと、看護師さんから声をかけてきた。



「どうかなさいましたか?」


「あの、すいません。昨日まで302号室にいた、立花愁さんはどこに、、」


「ああ、立花さん。もしかして、立花さんのお見舞いに来られたんですか?」


「はい。」




にこやかに微笑み、ゆっくり話す看護師さん。



早く!早く言ってよ!


愁くんは、どこなの?





「立花さんでしたら、もう退院されましたよ。」


「へっ?」



あたしは、体中がこわばっていた力が、ふっと抜けていくのがわかった。




「えっ、あの、退院ですか?」


「はい。今日の明け方目を覚まされて、精密検査を受けておられましたが、何も異常なく、ご本人も元気でしたので、今日の夕方に退院されました。」


「本当ですか?目が覚めたんですか?」



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