さよならだね。



初めて来たのは、あの夏祭りの日。


二人っきりで、綺麗な花火を見た。



初めて、自分の素直な嫉妬心を、さらけ出せた。




それから、星空が大好きなあたしたち二人にとって、とてもお気に入りの場所になった。



綺麗な星空と、綺麗な夜景、


その景色を、二人だけのものにできる。




春も、夏も、秋も、冬も、


二人で何度もここへ来ては、いろんな話をした。


ここに来たら、なんだかスッと心が軽くなって、いつもより素直になれた。



お互い、思ってることを正直に、相手にさらけ出すことが出来た。



自分の心が浄化される気がした。





でも、ここは、あたしたちが二度目の別れを決めた場所でもある。



いまとなっては、それも思い出の一つだけど。



あのときの、愁くんの悲しそうで、寂しそうで、悔しそうな、あの顔は絶対忘れない。




お互いを思いやること、それはもちろん大事なことだけど、


あのときのあたし達は、相手の幸せを考えることだけが愛だと思ってた。



好きだから、好きすぎて、離れられるはずもないのに、離れてしまったんだよね。




高台に向かう途中で、いままでのことを思い出し、いろんな思いがよみがえってきた。



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