さよならだね。
「えっ、あの、、」
「ごめんね。今日はここまでしか送れない。あと少し、ゆらちゃんが、自分の足で登って。」
そう言って、原口さんは、もう少しでいつもの高台のベンチってところで、車を止めた。
「ゆら、立花さんが待ってる。行っておいで。」
「うん。」
あたしが車を降りると、原口さんと優華は、来た道を引き返して行った。
あたしは、歩いた。
いつもの場所に向かって、一歩一歩、踏みしめるように歩いた。
本当は、急いで走って行きたい気もしたけど、
いままでの思い出を、一つ一つ思い出しながら、
愁くんと歩いてきた道を、
もう一度、
今度は一人で歩くように、
しっかりと、歩いた。
今日は愁くんと出会って、三度目のクリスマス。
愁くんと出会った春が、また近づいてきている。