さよならだね。



「ゆら、泣かないで。」


「だって、、だって、、」



泣いても泣いても、とどまることを知らない涙。




「ほん、とに、、?本当に、全部思い出したの?記憶が戻ったの?」


「ん。初めてゆらに会った合コンのとき、緊張して俺の名前さえ聞こえてなかったことも、おれが夜の海でゆらに告白したことも、全部思い出したよ。」




本当に、、


本当に思い出してくれたんだね、、




出会ったあの日から、今日までのこと、



あたし達がいままで歩んできた道、



愁くんの記憶から、心から、消えてなんてなかったんだね。





「よかった、、本当に、、」


「もう、泣くなって。」



愁くんが近づいてきて、片方の手で、あたしの頬を包んでくれる。



ずっとここであたしを待ってたからか、手がすごく冷たくなってた。





「だからさ、思い出したんだ。あの日、ゆらに伝えたかったこと。この場所で、こうして、ゆらに伝えたかった言葉。」


「なに?」


「長いこと待たせてごめんな。聞いてくれる?俺の気持ち。」


「うん。聞かせてほしい。」




あの日、、


愁くんがあたしに伝えようとしてくれたこと。



ずっと、伝えられなかったこと。



< 435 / 444 >

この作品をシェア

pagetop