さよならだね。
「ゆら、泣かないで。」
「だって、、だって、、」
泣いても泣いても、とどまることを知らない涙。
「ほん、とに、、?本当に、全部思い出したの?記憶が戻ったの?」
「ん。初めてゆらに会った合コンのとき、緊張して俺の名前さえ聞こえてなかったことも、おれが夜の海でゆらに告白したことも、全部思い出したよ。」
本当に、、
本当に思い出してくれたんだね、、
出会ったあの日から、今日までのこと、
あたし達がいままで歩んできた道、
愁くんの記憶から、心から、消えてなんてなかったんだね。
「よかった、、本当に、、」
「もう、泣くなって。」
愁くんが近づいてきて、片方の手で、あたしの頬を包んでくれる。
ずっとここであたしを待ってたからか、手がすごく冷たくなってた。
「だからさ、思い出したんだ。あの日、ゆらに伝えたかったこと。この場所で、こうして、ゆらに伝えたかった言葉。」
「なに?」
「長いこと待たせてごめんな。聞いてくれる?俺の気持ち。」
「うん。聞かせてほしい。」
あの日、、
愁くんがあたしに伝えようとしてくれたこと。
ずっと、伝えられなかったこと。