さよならだね。



「ゆら。俺はゆらに出会って、初めて人を好きになった。初めて人を愛した。こんなに誰かを愛おしいと思ったのは、初めてなんだ。自分よりも大事だと思えるのも、ゆらだけなんだ。」




もう、、


せっかく収まりかけた涙が、また溢れ出して止まらなくなる。



あたしもだよ、、


あたしも愁くんのこと、愛してる。



愁くんと出会って、恋に落ちて、人を愛することを知った。


自分の幸せよりも、愁くんの幸せを願った。





「俺は、ゆらにふさわしい人間かどうか、その自信はいまでもない。今回の事故でも、ゆらのことをたくさん傷つけた。ゆらのこと、泣かせてばっかりだった。」


「そんなこと、、」




そんなことないよ。



愁くんと一緒にいれるだけで、あたしはすごく幸せなんだよ。


あたしこそ、愁くんにふさわしい女の子になれるか、そんな自信なんてない。





「でも、俺はゆらがいないと生きていけない。女々しいって、情けないって思うかもしれないけど、俺には、ゆらが必要なんだ。ゆらがいてくれないと、俺は幸せになれない。」


「愁くん、、」




愁くんの気持ち、、。



普段聞くことのない、正直な気持ち。



あたしと同じ気持ちでいてくれているとわかり、幸せで心が温かくなる。




女々しいなんて、情けないなんて思わない。


あたしだって、愁くんがいなきゃ、幸せになんてなれないんだよ。



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