さよならだね。
一口飲んだワインは、いままで飲んだことのあるワインより渋みが無くて、まだまだ子どものあたしにも飲みやすいものだった。
「気に入ってもらえた?」
「はい!すごくおいしいです。」
「よかった。」
あたしが笑うと、立花さんを優しく笑ってくれる。
あ、この顔。
ほんとに優しく柔らかく笑う人。
料理がどんどん運ばれてきて、ワインを飲みながら料理もいただく。
どれも本当においしくて、お酒も進み、あたしは頬が緩みっぱなしだった。
なんでもないような話をしながら、楽しく食事していた。
立花さんは、そんなあたしを見ながら、ずっと優しく微笑んでくれる。
「愁!顔出せなくて悪かったな!」
お腹もいっぱいになってきた頃、コックさんのような格好をした男性が、あたしたちの席にやってきた。