さよならだね。




「ちょっ、ちょっ、」


あたしはびっくりしすぎて言葉にならない。


心臓が急激にうるさくなる。





「体冷えるから、車乗って。」


「えっ、あ、うん。」



あたしは愁くんに手を引かれるまま、助手席に乗せられる。

愁くんはあたしを車に乗せると、さっと運転席側に回って乗り込む。



あたしは恥ずかしくて、ずっと顔を上げれない。




「なんでそんなうつむいてんの?」


「だっ、だって恥ずかしいから。」


あたしの顔を覗きこもうとする愁くんの顔から逃げるように、今度は窓から外を向く。

せめてもの救いは、パジャマがこの前買ったばかりの、少しかわいい部屋着だってこと。




「ゆら?こっち向いて。」


「むっ、無理!」



絶対いま顔赤いし、こんなんで愁くんの顔見れないよ〜。




「俺はラッキーだけど。ゆらのこんな格好見れて。」


「もう!からかわないで〜!」


あたしがそう言うと、愁くんは楽しそうに笑う。



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