さよならだね。
「大丈夫だから。頼むからこっち向いて?」
愁くんの優しい声に、あたしはしぶしぶ愁くんの顔を見る。
目が合うと、愁くんはあの優しい顔をして笑っていた。
「ここ何日か仕事忙しくて疲れたまってたから、ゆらに会いたくなって来ちゃった。」
ああ、もう、、
なんで愁くんはそういうことさらっと言えちゃうの。
あたしは照れてしまって、さらに顔が赤くなるのが自分でもわかった。
あたしはまた視線をそらす。
「ゆらの顔見たら、なんか疲れ吹っ飛んだ。」
「もう!そんなことさらっと言わないで!」
「ははっ。なんで?」
愁くんはあたしの反応を楽しんでるようだった。
「恥ずかしいから!」
あたしがそう言うと、愁くんはあたしの頭をぽんぽんとして、手を頭に乗せる。
そして、
「ゆらは無自覚だから困る。」
そう言って困ったように微笑む。
「え?どういう意味?」
「なんでもない。」
そう言って、あたしの頭から手を離すと、愁くんはふうっと息を吐く。