さよならだね。




「たしかに、今日あたし愁くんを見ないように、あんまり近づかないようにって、いつの間にか避けちゃってたみたい。ごめんね?」


「うん、気づいてたよ。」



ぽつりぽつりと話し始めたあたしに、愁くんは優しい声であいづちをうってくれる。




「あのね、なんか、、」


「ん?」


言葉につまっても、愁くんはゆっくり待ってくれる。



あたしは一度深呼吸して、うつむいて話す。





「今日、あたし、気づいたら愁くんのこと目で追っちゃってて、愁くんの表情とか仕草とか見ながら、ふふって笑っちゃったりして、、

なんかストーカーみたいじゃない?って思って、自分で恥ずかしくなっちゃって、、」


「ゆら。」


「それで、こんなことしてたら愁くんに気持ち悪がられちゃうかなって思って、それで、、」





ぎゅっ、、



「しゅ、愁くん?」



あたしがまだ話している途中で、いきなり愁くんに抱きしめられる。





「ゆら?」


頭の上から、愁くんの低く落ち着いた声が聞こえる。


ほんとに、愁くんの腕の中はあったかい。





「ゆらは、俺のこと好き?」


そう聞いてくる愁くんの声は、いままでの中でも一番優しい声だった。



あたしは、コクン、とうなづく。




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