さよならだね。
愁くんと目が合うだけで、落ち着きかけていたあたしの心臓が、また大きな音を立てて動き出す。
「その顔、俺以外に見せちゃだめだよ。」
そう言って、愁くんはもう一度あたしにキスをした。
あたしのうるさい心臓の音が、愁くんに聞こえちゃうんじゃないかなって、あたしはそう考えながら目を閉じていた。
ビールや酎ハイの入った袋は愁くんが持ってくれていて、もう片方の手で、しっかりとあたしの手を握ってくれている。
そのままみんなのところに戻ると、
「おお!おかえり〜っておい!待て待て!何なのその手は!」
原口さんが、びっくりするほどのリアクションで迎えてくれた。
その声でみんなが一斉にあたしたちに注目する。
「ゆら!まさか、、」
目を見開く優華に、あたしは笑顔でうなづく。
「わ〜!おめでと〜!」
そう言いながら美奈がかけよってきて、あたしに飛びつく。
それを皮切りにみんながあたしたちにかけよってくる。
愁くんは原口さんと橋本さんに、あたしは美奈と優華とサキちゃんに、それぞれもみくちゃにされる。
みんなに祝福され、嬉しいような、照れくさいような、心がすごくくすぐったかった。