【完】いいかげん俺を好きになれよ

……どき。



そこに現れたのはガラガラ声で今にも倒れそうなアユの姿で……



…ひゃぁぁ〜、



「ち、ちょっと…大丈夫!?

ごめん、起こしちゃったかな?」



肩を上下に揺らし、うつろな目をしている彼は思った以上に重症みたいで辛そうだった。



「……ぜんぜん、大丈夫じゃねぇよ…

ってかお前なんで…明日テストだろ。

何やってんだよ」



え〜…何って…(笑)



「お見舞いだよ〜。あ、LINE見た?

あたしの勉強教えたせいでアユが疲れちゃったのかと思って…

あ、コレ差し入れ!よかったら一緒に食べよ」



あたしがそう言ってコンビニの袋を手渡すと、アユは驚いた顔をする。


そして少し困ったような表情で



「お前…一緒にって……

帰ったほうがいいんじゃねーの?

うつんぞ風邪…」


「えー大丈夫大丈夫!

あたし風邪めったにひかないし、ほらバカは風邪ひかないって言うじゃん?

それより早く部屋戻ろうよ。病人は寝てなくちゃ」



そう言ってアユを家の中に押し返した。


確かにうつったら困るんだけど。


でもなんかやつれた顔のアユを見たら、そのまますぐ帰る気にはなれなかった。


少しくらい何かしてあげられないかなって思っちゃうよ。


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