【完】いいかげん俺を好きになれよ

そりゃスマホ見る気にもならないよなぁ…

なんてちょっと気の毒になった。


アユは苦しそうに息をして横たわりながらこちらを見てる。


冷えピタを額に貼ったアユは、なんだか子供みたいでちょっと可愛かった。



「大変だったね。そんな熱あったら…。

誰もいないもんね」


「…まぁな。仕方ねぇだろ、親仕事だし…。

まさかお前が来るとは思わねぇしな。

しかも一人で」



確かに…

今までならこういう時絵里たちとみんなでお見舞い〜みたいな感じだったけど、今日はなんか一人で来ちゃった。

まぁ一人で行かされたというか…(笑)


でもこんなに弱ってるなら、やっぱり来てよかったかもって思う。


熱の時一人ってのは心細いよね。



「え〜でも散々お世話になったし…(笑)

っていうかあたしのせいで疲れて熱出したのかと思っちゃったんだもん。

だから心配になって…つい」



そう答えるとアユは少し目を見開いて、それからまた細めた。



「…心配?俺が…?」


「……え、うん…」



頷くと、布団の中から手が伸びてくる。


そしてふとあたしの腕を捕まえた。



……どき。



その手がすごく熱くて。



「……手」


「えっ?」


「…手、貸せよ」



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