【完】いいかげん俺を好きになれよ
眉間にしわを寄せて、箸を止めた。
意味不明って顔をするアユ。
そりゃそうだよね、またあたしアユに怒られるような変なこと言ったかも(笑)
「だったらワカメ抜き頼めば」
「ですよね」
「俺に彼女できたら嫌なの?…お前」
そうたずねるアユの顔は、意外にも真剣だった。
バカにしたような笑みを浮かべるでもなく、呆れてるようでもなく。
まっすぐにあたしをとらえる、真っ黒な瞳。
「うーん…別に嫌ではないけど……」
「あっそ」
だけど急にまた不機嫌な顔をして、ラーメンを食べ始めた。
今ので会話終了、みたいな勢いで。
本当にアユって、時々よくわからない。
わけもなく怒ったり、不機嫌になったりするんだもん。
なんでかなー。
「わけわかめだよねー」
「…つまんねぇよ、アホ」
でもそれでも居心地いいと思うんだから、きっと気が合うんだよね。
なにもかもこのままがいいな。
アユとの関係も。
ただなんでもないようなこの日常が
あたしはとっても好き。