【完】いいかげん俺を好きになれよ
それから家までずっと二人無言だった。
あたしが何も喋らなくなってしまったので、アユも同じく喋らない。
楽しかったはずの花火大会は一瞬にして気まずいムードへと変わってしまい、沈黙のままたどり着いた我が家…。
あたしはアユにお礼を告げて手を離した。
「ありがとう…送ってくれて。
おやすみ」
小さく笑って見上げると、アユは不安げにあたしを見つめる。
「あぁ…またな。
おやすみ」
なんだか味気ない別れ際になっちゃった…。
なんて思って、背を向けた瞬間……
「…美優、」
不意に名前を呼ばれた。
「…なに?」
ドキッとして振り返る。
「……今日…楽しかった?」