【完】いいかげん俺を好きになれよ
そう、何が一番イヤって、あたし真由香と比べられるのがイヤなんだ…。
自分に自信がないから。
真由香と付き合ってたって知った途端に、アユと付き合う自信がなくなってしまった。
アユは完璧を絵に描いたような男だし、真由香だって羨ましいくらい完璧な子だから。
どう背伸びしたってあたしじゃ真由香にはかなわない。
「でも歩斗は美優がいいんでしょ。
今は美優が好きだって言ってくれてんだからそれでいいじゃない。
もっと歩斗の気持ち信じてあげたら?」
うぅ……
そう言われるとつらい。
確かにアユは何も悪くない。
でもやっぱり……
「でも…あたしは付き合えないよ…。
色々知りすぎてて。
二人のこと全部知ってる。
ラブラブだった頃の二人を知ってるんだもん。
何しても真由香のこと思い出すに決まってる。
こんな気持ちのまま付き合えないよ…。
無理だよ…」
言いながら涙がこぼれてきた。
ダメだ…
なんかもう涙腺がゆるくて。ずっと……
涙がぽろぽろこぼれてあとからあとから止まらなくなる。
どうしてこんなに涙ばっかり出てくるんだろう。
自分でも不思議なくらいに。
わかんない……
するとそんなあたしを見て絵里が言った。
「じゃあなんで泣いてんの?」