【完】いいかげん俺を好きになれよ

「お待たせしましたぁ…」



席に戻ると部長が不思議そうな顔でじっと見てきた。



「…どうした石田。元気ないぞ」


「いえ別に…もとからないです」



うぅ…絵里に話して少しスッキリしたつもりがまたモヤモヤしてきちゃった。


よりによって、なんでこんなところで。


あの二人やっぱり仲いいんだ…。



しかもアユったらあたしに振られたわりに元気そうだし。


「俺はずっと好きだから」なんて言ったくせに…。


さっそく元カノとイチャついてるんじゃん。



こうして二人の姿を目の当たりにすると、またどんどん不安が大きくなってくる。


あんなにみんなからお似合いだと思われてて。

別れたのに今でも仲よさげで。


それに…あたしの記憶が正しければ、真由香は別れた時自分がアッくんを振ったって言ってた。


…てことはアユは振られたんだよね。



真由香が振ったりしなければ、二人は今も続いてたのかなぁ…なんて。


そしたらアユがあたしを好きになることもなかったかもしれない……


そんなふうに考えはじめたら止まらなくて。


胸の奥がズキズキして、痛い。

苦しい。


二人の楽しそうな顔が重たくのしかかって、またどんどんマイナス思考になっていく。


< 282 / 338 >

この作品をシェア

pagetop