【完】いいかげん俺を好きになれよ

何気なくそんなことを言ってみる。


するとアユは自分のネクタイをぴらっと持ち上げて、それに目をやった。



「…そうか?

でもまぁ俺もどっちかっつーと今のブレザーのが好きだけど」


「うちの制服デザインいいよね!

あたしも今の制服好き!」



そんな会話をしていたら、ふと彼の胸元に目がいって。



「あ…!」


「ん?なんだよ」


「ボタン取れそう」


「あぁ…これ?」



あたしが指摘すると、アユはまるで知っていたかのようにそれをつまむ。


見たらワイシャツの第2ボタンがぶらーんとボタンホールからぶら下がっていて、引っ張ったら今にも取れそうになっていた。



「朝着る時に気付いたけど…時間なかったし、そのままほっといたら忘れてた」


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