【完】いいかげん俺を好きになれよ
あらら……
「そんなの言ってくれたらよかったのに!
ボタンなくなっちゃうとこだったよ」
「忘れてたんだよ(笑)」
まぁ、アユのことだから朝は起きるのギリギリで、どっちにしろ気付いても縫い付ける時間なんてなかったんだろうけど。
だからあたしはハイ、と手を差し出した。
「貸してよ。付けたげるから。
ボタン付けなんてあたし朝飯前だよ」
「え?いや…いいけど。
でも俺裁縫道具なんて持ってねぇぞ」
「何言ってんの!あたし一応手芸部次期部長だよ?
ソーイングセットくらい持ち歩いてますから!」
えへん、とドヤ顔で言ってみせる。
そしてカバンから小さなコンパクトに入ったソーイングセットを取り出した。
「ほら、これいつもカバンに入ってるんだ〜」