【完】いいかげん俺を好きになれよ
ーードカッ!!
その時あたしは、全身の力を振り絞って先輩のお腹に膝でケリを入れた。
「…うぉっ!!
いって…なにすんだよ!!」
先輩は痛みに顔を歪めてお腹を抱え込む。
だけどその瞬間押さえつけられてた手が外れて、あたしはやっと自由になった。
慌てて起き上がり、ベッドを降りる。
そして置いてあった荷物を抱えて、逃げるように部屋をあとにした。
「…っおいっ!
待てよ!!」
先輩の声が聞こえるのなんて無視して。
そのまま家を出て、走る、走る、走る…!!
しばらくしてちょうど小さな公園を見つけたので、そこのベンチにようやく腰を下ろした。
「……っはぁ…ハァ…」
…ドキドキドキドキドキドキ
いまだに心臓が鳴りやまない。
いまだに怖くて、体が震えて…
悲しくて悔しくて、自分が情けなくて…
気付いたら次から次へと涙があふれてきた。
「…ぅ…ひっく……
……ぅう…もう嫌……」
そしてカバンからスマホを取り出して、絵里の名前を探した。
助けを求めるように電話をかける…。
…絵里……
お願い、出て…