【完】いいかげん俺を好きになれよ
だけどその瞬間、ふと思い出した。
…あれ?
よく考えたらあたし、アユとケンカしてなかったっけ…?
それなのにアユはこんなすぐ駆けつけてくれて…
しかも汗だくだし…
わぁぁ…なんか…
そう思ったらますます胸の奥が熱くなった。
アユってやっぱり優しいんだ…
あんなに怒ってたのに
結局は心配してくれてるし……
それなのにあたしったら…本当に…
あたしはしがみついた腕に、さらに力を込める。
アユの優しさが今さらのように身に染みて、涙があふれてきて…
アユはそのまま無言でしばらくずっと抱きしめてくれていた。
長い時間、沈黙が流れる…。
だけど急にボソッと、小さな声で訊ねられた。
「………とりあえず…
一応無事だったんだよな…?」
「…え?」