【完】いいかげん俺を好きになれよ
……えっ?
信じられないセリフに胸がドキンと音を立てる。
アユの目はすごい真剣で…
あたしはそれを聞いたとたん胸の奥が熱くなって、また涙がこみ上げてきた。
なんだ…やっぱり…
あたしのために怒ってくれたんじゃん…
今井先輩はフゥッとため息をついて、それから少し眉を下げて笑う。
「……ハハ、わかったよ…
悪かったな」
さすがに殴り返して気が済んだのか、そう言い放つとその場を去っていった。
集まったギャラリーも少しずつ散っていく…。
あたしはあらためてアユの顔をじっと見た。
口元が切れて、白い肌に赤く血が滲んで…
それを見たら思わずこらえていた涙がこぼれてくる。
「…っ、なにやってんの…ばかぁ…」